年間110万円贈与は非課税にできる?住宅資金の贈与の非課税枠と併用は?節税のための贈与税の5つの特例とは

相続・贈与

年間110万円贈与は非課税にできる? 住宅資金の贈与の非課税枠と併用は? 節税のための贈与税の5つの特例とは

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年間110万円の贈与は税金がかからない!?

贈与税の課税方法には、「暦年課税」「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。

参照:国税庁「暦年課税」と「相続時精算課税」

暦年贈与とは

「暦年贈与」とは。。。

親族を含め、人から財産をもらうと贈与税がかかりますが、年間合計110万円までは、非課税で税金がかからない「暦年贈与の制度」をご存知ですか?

年間合計110万円までは税金がかからない「暦年贈与」とは 暦年贈与とは、暦年(1月1日~12月31日)ごとに贈与を行い、その贈与額が年間110万円以下であれば、贈与税がかからない制度のことです。

「暦年贈与」とは! 年間合計110万円までの贈与に税金がかからない!

この110万円の非課税枠は贈与を受ける側を基準として計算するため、子どもが2人いる場合は、それぞれに110万円ずつ渡すことができます。

暦年贈与は、孫や子どもだけでなく、財産を残したい人に渡せるうえ、相続財産を減らすことができるので、相続対策にもなるとても有効な手段です。

贈与税の税額表

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

参照:国税庁 贈与税の計算と税率(暦年課税)

暦年贈与の注意点 は、受け取る側の年間合計額が110万円を超えると贈与の対象になります。 ここで注意したいのは、さきに述べたようにこの制度は受け取る側を基準としているので、年間合計額が110万円を超えると贈与の対象になることです。

相続税における生前贈与加算に関して、2024年からルールが改悪されました。

相続税においては、一定の生前贈与も相続財産に加算されます。

いままでは、亡くなる3年前までの生前贈与が加算の対象でしたが、2024年からのルール変更で、この期間が7年間に延長されました。相続財産に加算されてしまうと、それまでの生前贈与の節税効果がなくなってしまいます。

つまり、 亡くなる前から7年以内の贈与は、生前贈与ではなく相続税の対象となるというルールになります。 これは、年間合計110万円の非課税枠の生前贈与も対象になるので、生前贈与するときは、相続時期が近くなって駆け込みでバタバタと行うのではなく、計画的に進めることが大切です。

暦年贈与を利用する際は預金通帳に記載され、証拠と残るようにすることがポイントです。

相続時精算課税とは

相続時精算課税の選択に係る贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除し、特別控除額2,500万円を控除した残額に対して贈与税がかかります。

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。

また注意点として、この制度は贈与者(父母または祖父母など)ごとに選択できますが、一度選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。

【2024年】住宅資金の贈与の非課税枠とは?

そもそも、親子や祖父母に限らず、人から人へ財産を贈ると贈与税が発生します。ただ、贈与した金額が1年間で合算して110万円以内であれば、贈与税は課税されません。これが基礎控除といわれているものです。

この基礎控除に加え、住宅取得資金としての資金が贈与される場合、一定の非課税枠が設けられています。これが、住宅取得等資金贈与の非課税制度です。資金面でゆとりのある祖父母・父母世代が住宅資金の援助をしやすくし、若い世代を助けようというのがその狙いです。これは、これから住宅を購入しようとする方は、知っておくべき内容だと思います。

2023年12月14日に「令和6年度 税制改正大綱」によって、2023年末で終了予定だった子や孫への住宅購入のための資金の非課税贈与制度が、2026年末まで延長されることになりました。

今回の税制改正において、非課税限度額に変更はありません。

住宅の形態非課税限度額
省エネ等の住宅用家屋1,000万円
上記以外の住宅用家屋500万円

省エネ等住宅用家屋の要件が変わりました!
以前の制度では、新築住宅の場合、省エネ等住宅の要件を満たすためには、省エネ性能が「断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であること」と定められていましたが、「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」に変更されました。

既存住宅(中古住宅)は、 省エネ性能が「断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上であること」が条件となります。

参照:国土交通省 2024年住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、 「相続時精算課税制度」とは違うものです。
相続税対策としては、有効で亡くなる前7年以内の贈与が相続税の課税価格に加算されるというルールの適用がないという特徴があります。

この非課税の特例は相続時精算課税制度も適用できる

住宅取得等資金の非課税の特例は相続時精算課税と併せて適用できるので、非課税額はさらに増えます。しかし注意点があり、相続時精算課税を選択すると、それ以降は110万円の非課税枠をもつ暦年課税を選択することができなくなります。
相続時精算課税は将来的に贈与した財産を相続財産にプラスして相続税の申告を行う必要があるため、慎重に考える必要があるというわけです。

参照:国税庁 相続時精算課税の選択

暦年課税方式の基礎控除110万円と併用できる?

住宅取得等資金贈与の非課税制度を適用すれば、本制度の非課税限度額(1,000万円)と暦年課税の基礎控除額(110万円)とを合わせた1,110万円が非課税となり、それを超える金額が課税対象となります。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、 暦年課税方式の基礎控除110万円と併用できる のもポイントです。

住宅資金の贈与の非課税枠には適用条件がある

この制度を利用するためには、いくつか条件があります。

受け取り手と贈り手の関係ですが、父母や祖父母など直系尊属からの贈与が対象になります。

注意点 義理の父母では適用されません!

また、贈与時に20才以上で、日本国内に住み、1年間の合計所得が2000万円以内である必要があります。贈与された資金は、自身が住むための住まいの購入・増改築の費用が対象となります。

あわせて、贈与をうけた年の翌年3月15日までに、購入・増改築した住まいに引っ越して、生活をしなくてはいけません。万一、居住していなくとも、同日後遅滞なくその住まいに居住することが見込まれることが適用条件となります。また、適用を受けるために、確定申告をする必要があります。

住まいにも、適用条件があります。

新築又は取得の場合の要件

イ 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

ロ 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。

 ①建築後使用されたことのない住宅用の家屋

 ②建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの

(注) 耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。

 ③建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの

 ④上記及びのいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの


住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税の特例!節税のための贈与税の5つの特例とは

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相続のポイント 節税効果を期待できる、贈与税の5つの特例とは

贈与税の5つの特例
贈与税には特例が用意されています。これらを活用することで、一定金額まで非課税で贈与できるため、より有利に資産を移転していくことができます。
特例は
贈与税の配偶者控除、住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税の特例
教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例
結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例
教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例
障がい者へ贈与した場合の非課税の特例

の5つです。期限が定められているものも少なくありません。活用を検討する場合には注意してください。

1.贈与税の配偶者控除

婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、基礎控除の110万円とは別に最大2000万円まで贈与税が非課税となる制度です。
条件を満たす贈与が2000万円以下の場合はその金額まで非課税となり、2000万円を超える場合は超えた金額に対して贈与税がかかります。

この特例を利用した場合、贈与税は節税できますが、不動産の所有権が移転することにより、不動産取得税や登記に必要な登録免許税、登記を司法書士に依頼する場合にはその手数料などの費用も発生します。節税できる金額とこれらの費用を考慮し、どちらが有利か考慮する必要があります。

2.住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税の特例

こちらは先ほど解説させていただいた内容です。父母や祖父母など直系尊属から住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合、築年数や面積の基準など一定の要件を満たす不動産であれば、非課税枠があります。

この特例は、節税対策にもなる父母や祖父母から住宅を取得するための資金の贈与を受けても、一定額までは贈与税がかからないという制度です。
限度額は段階的に下がっていきます。ポイントは基礎控除額の110万円に加えて2026年3月31日までであれば最大で1,000万円が非課税になる可能性があります。

受贈者ごとの非課税限度額は、次の下記の表のとおり、新築等をする住宅用の家屋の種類ごとに、受贈者が最初に非課税の特例の適用を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じた金額となります。

① 下記②以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
~平成27年12月31日1,500万円1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日1,200万円700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,000万円500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日800万円300万円

② 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

以下のように年々金額が減らされてきました。

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,500万円1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日1,200万円700万円

関連記事:国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

【注意すべきポイント】贈与税が0円になる場合でも申告しなければいけません!

「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準
新築住宅の場合①断熱等性能等級5若しくは一次エネルギー消費量等級6以上
令和6年度税制改正において、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の適用期限が3年間延長されました。
 <令和6年度税制改正のポイント>
  ・受贈に係る適用期限を3年間(令和6年~8年)延長。
  ・非課税限度額が1,000万円に上乗せされる「良質な住宅」の要件について、新築住宅の省エネ性能要件をZEH水準(断熱等性能等級5以上(結露の発生を防止する対策に関する基準を除く。)かつ一次エネルギー消費量等級6以上)とする。
※令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅については、現行要件(断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上)のままとなります。

3.教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例

父母や祖父母など直系尊属から子や孫に対して教育資金を贈与した場合、一定の要件のもと最大1500万円まで非課税です。この特例は用途が教育資金に限られます。現状では特例の対象は2021年12月31日までの贈与が対象です。
この非課税の適用を受けるためには、財産を信託会社に口座を開設し、贈与契約書を作成し、贈与する資金を信託し、信託会社を通じて「教育資金非課税申告書」を税務署に提出する必要があり、払出しには領収書など証明書類を提出する必要があります。

この制度は、受贈者ひとりに対して1500万円まで非課税となる制度です。

例えば、父方母方双方の祖父母がかわいい孫にそれぞれ贈与したいと考えているような場合、父方、母方いずれかの祖父母が先にこの制度を使って1500万円の贈与を行ってしまうと、それ以上は使えず、1500万円を超過した贈与には贈与税が課されますので注意が必要です。

2019年4月1日以降の贈与については受贈者の所得要件(受贈者の所得が1000万円を超える場合には適用外)ができたほか、2019年4月1日以降にこの制度を用いて教育資金贈与を行い、3年以内に贈与者が亡くなった場合に、教育資金に残額がある場合に一定の場合を除いてその残額が相続税の課税対象になるなど、いくつかの見直しがありました。詳細は税務署、信託会社などにご確認ください。

4.結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例


父母や祖父母など直系尊属から、20歳以上50歳未満の子・孫などに結婚・子育て資金として贈与した場合、一定の要件のもと1000万円まで贈与税が非課税となる制度です。こちらも受贈者ひとりに対してのものです。
この制度も「教育資金」同様、財産を信託会社に口座を開設し、贈与契約書を作成し、贈与する資金を信託し、信託会社を通じて「結婚・子育て資金非課税申告書」を税務署に提出する必要があり、払出しには証明書類を提出する必要があります。

結婚資金として使えるのは300万円までで、挙式や披露宴、婚礼衣装、新居の家賃などには使えますが、新婚旅行や婚約・結婚指輪の購入費用などには使えません。一方、不妊治療や出産費用、子供の医療費や幼稚園・保育園・ベビーシッターなどへの支払いには使えます。

最近は子供の医療費がかからない自治体も増えているほか、保育料などは消費税増税のタイミングで無償化されたので、1000万円を使い切るのは結構大変な気がします。使いきれずに受贈者が50歳に達した場合などには信託契約が終了し、その時点での残額に贈与税が課される点にも注意が必要です。

5.障がい者へ贈与した場合の非課税の特例


ハンディキャップを持つ方を身内にお持ちの方は、自分がいなくなった後、その身内が金銭面などで困らないか不安を感じる場合も多いでしょう。
特定障がい者(特別障がい者および障がい者のうち精神に障害がある方)の将来の生活費などのための贈与については、特別障がい者である特定障がい者の方については6000万円まで、特別障がい者以外の特定障がい者の方については3000万円まで贈与税がかかりません。

この特例の適用も、財産を信託会社に口座を開設し、贈与契約書を作成し、贈与する資金を信託し、信託会社を通じて「障害者非課税信託申告書」を税務署に提出する必要があります。

特例を活用する場合の注意
これらの特例を活用するときは、それぞれ「申告」が必要になります。あくまでも特例ですので、申告を怠り納税もしないでいると、後から贈与税だけでなく、延滞金や、重加算税、資産の差し押さえなどの処分を受ける対象にもなってしまいます。

合法に節税し、より多くの資産を次世代に継承するための一つの方法として贈与の仕組みや特例について理解することが大切です。

新築一戸建て生前贈与を利用して購入! 親が亡くなってから相続するのは遅すぎる


4月に生前贈与優遇制度が見直されます。年老いた親に同意をとって必要なお金をもらえれば、譲るほうも引き継ぐ方もともにメリットがあります。

年末年始に離れて暮らす親と過ごし、久しぶりに会って「親父やおふくろも一段と老けたなぁ」と実感した人も多かったのではないでしょうか。しかし、変わっていくのは見た目だけではありません。短い時間のやりとりでも親の異変に気づくと、心配になるものです。気になるのは健康の面だけでなく、お金の面も同様です。親とのやりとりを振り返りながら、近い将来のことを考えるには、今がいいときではないでしょうか。

実は今年は税制改正のほかに、消費税増税も控えています。親や祖父母の資産を、親や祖父母だけでなく、それを引き継ぐ自分たちにとっても、最もいい形で生かすにはどうしたらいいのかを考えていきましょう。

生前贈与で1500万円までの教育資金が非課税に

日本では金融資産の多くを60代以上の世代が保有しているといわれています。そのため、国も将来のある世代に、これらの資産をスムーズに引き継がせるためにさまざまな優遇制度を設けています。もし、多額の相続税が課せられるほど金融資産がある場合、相応の対策が必要になります。

まず、遺産を引き継ぐ側にお子さんがいる場合、有効な資産移転方法の1つが「教育資金の贈与」です。年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかりますが、教育費に使う場合、贈与税が非課税になる「教育資金の非課税の特例」という制度があります。

この制度を使って贈与が受けられるのは30歳未満で、「学校等に支払われる教育費」は最大1500万円、「学校等以外に支払われる教育費」は最大500万円が非課税となります。上限は1人あたり1500万円で、両親の祖父母それぞれから受け取る場合、合算して1500万円であれば問題ありません。

「学校等」という条件には幼稚園、認定こども園、保育所、小・中学校、高校、大学や、特別支援学校、高等専門学校、大学院、専修学校のほか、海外の学校(その国の学校教育制度に位置付けられている学校)、国内のインターナショナルスクールや外国人学校なども含まれます。非課税になるのは、それらの授業料や保育料、入学金、学用品費、修学旅行費、学校給食費などに使った場合です。
一方、「学校等以外に支払われる教育費」とは、塾や習い事などの月謝や入会金、教材費などです。この制度は、ちょっと面倒だといわれています。なぜなら、信託銀行などの金融機関と教育資金管理契約を結び、資金を信託し、お金を支払った際に領収書などを提出してようやくお金を引き出せるからです。

そもそも、教育費が必要なたびに祖父母がお金を出す分に関しては、昔から非課税でした。しかし、教育費が実際に必要になる前に、非課税でお金を受け取ることはできませんし、祖父母が「孫の教育資金を援助したい」と思っていても、そのときまで元気でいられるかはわかりません。この制度のメリットは、「将来必要な教育費を先にもらえる」という点です。
この特例を使って贈与を受けておけば、実際にお金を使う前に贈与者が亡くなっても、相続税はかかりません。この制度は、もらう側、あげる側双方にとって、有利で確実な資産の移転方法なのです。

「教育資金贈与の特例」は2019年3月31日までとされていましたが、2年間延長されることが決まりました。しかし、可能性がある人は急いだほうがよさそうです。この制度自体、富裕層を優遇する措置だという批判があるため、2019年4月1日以後の信託では、制度内容が一部厳格化されるからです。
まず、「受け取る子や孫の所得が1000万円以下」という条件が加わることです。また、23歳以上30歳未満の子や孫については、同7月1日以後に支払われる趣味の習い事の費用が対象外となります。さらに、相続税の扱いにも注意が必要です。現行では贈与者が死亡した時点で、信託されたお金が残っていても相続税の課税対象にはなりません。
しかし、2019年4月1日以後の信託については、子や孫が23歳以上30歳未満の場合や、学校などに在学していない場合、死亡前3年以内に信託されたお金で残っている分は相続財産になります。 大きな改正点ですから、資産が多いケースなどでは早めに検討することをお勧めします。

次に、住宅取得資金を支援してもらう道もあります。

住宅取得資金等の贈与の非課税の特例は使わないと損!

「住宅取得資金贈与の特例」の適用を受ければ、節税ができます。また住宅ローンを組むと、ローン残高の1%が所得税や住民税から還付される「住宅ローン控除」という制度がありますが、その控除期間が13年に延長されています。

現在、ローンの控除期間は10年ですが、消費税率10%が適用される住宅で、2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合、控除期間が13年になります。
ただし、教育資金や住宅取得資金などの支援をお願いしていいのは、あくまでも親や祖父母に十分な経済的余裕がある場合だけです。余裕資金が減って、生活や健康に不安が出るようでは本末転倒です。相談を持ちかけるのは当然、「お金にはかなり余裕がある場合」にしましょう。

消費税10%で注意すべきは実家のリフォーム


次のポイントは、実家の状況です。長年暮らしている場合、「水回りなどに不具合がある」「段差など、危険な個所がある」など、リフォームが必要なら、消費税増税前に一緒に検討しましょう。
仮に、リフォーム資金が1000万円かかるとしたら、消費税が8%なら80万円、10%では100万円と、20万円の差が生じます。2019年9月末までに工事終了、引き渡しになれば8%で済みますが、工事が終わるのが10月以降の場合、請負契約の時期によって税率が異なります。
また、親や祖父母の健康に不安を感じた場合、検査や受診の必要性はないかを検討しましょう。早期発見なら症状が進まないうちに治療に入れます。要支援、要介護の申請が必要なら、早めに手続きしましょう。要支援、要介護に認定されれば、自宅をバリアフリー化する場合、20万円(工事費の9割。所得によっては7~8割)が支給されます。

終活についても確認しておきたいところです。もしものとき、「延命治療を望むか」「どんな資産を保有していて、どう分けたいか」などは考えておくように促したいものです。親が50代、60代だと、「まだまだ早い」と考えがちですが、元気だからこそやっておくべきだと思います。認知症が発症したり、重篤な病気にかかったりした場合は、身動きがとれなくなってしまいます。

家族信託の4つのメリット 認知症になったらどうする?認知症になる前に対策!

認知症になると贈与や不動産売却ができなくなってしまいます。そのために、先手をうたなければいけません。方法のひとつに家族信託があります。

家族信託の4つのメリット

★メリット1.

家族信託で本人(老親など)の体調・判断能力に左右されない財産の管理処分が実現できる!
【認知症による資産凍結対策】
本人の元気なうちから財産管理を託せるとともに、託した後に本人の判断能力が低下・喪失しても、“本人の意思確認手続き”が本人に対して行われないので、実質的に“資産凍結”されることなく、財産管理の担い手たる子(=「受託者」)主導で、財産の管理や処分がスムーズに実行できます。
具体的には、家族信託を事前に組んでおくことで、老親が入院・入所したために空き家となった実家(老親の自宅)を適切な時期に適正な価格で受託者が売却できる等のメリットがあります。

自宅の売却で多いのが、老親が認知になりかけているので早期に売却したいと駆け込んでくるケースが多いのも事実です。

★メリット2.

家族信託で成年後見制度の代用としての柔軟な財産管理が実行できる!
【成年後見制度の代用による自由かつ軽負担な財産管理】
成年後見制度は、下記のような負担や制約があります。
●家庭裁判所(後見監督人が選任されている場合は後見監督人)への定期的な報告義務の負担が重い。
●後見監督人が選任された場合の後見監督人報酬の負担(月額1~2万円程度)がずっと続く。
●成年後見人ができるのは、家族ではなく本人にとってメリットがあることに限られる。
一方の家族信託による財産管理は、本人が元気なうちに、本人の希望・方針及びそのために付与する権限をきちんと信託契約書の中に残しておけるので、その希望・方針に反しない限り、財産管理の担い手(=「受託者」)は、本人の希望に即した柔軟な財産管理・積極的な資産の有効活用を実行できます。
つまり、成年後見制度の利用下では実行できない“資産の組換え(遊休不動産の開発、老朽化した賃貸物件の建替え、不動産の買換え、借入れによるアパートの建設など)”による「相続対策(相続税対策)」の実行も、本人の健康状態に左右されずに相続発生のギリギリまで継続できるというメリットがあります。

★メリット3

家族信託で【遺言の機能+受遺者の財産管理】が実現できる!
【遺言代用+受遺者の財産管理】
本人の死亡により遺産をもらった者が既に財産管理の能力が無い場合には、結局その貰った受遺者に成年後見人を就けて、財産管理を担ってもらう必要が出てくるかもしれません。
しかし、家族信託だと、もともと「遺言」の機能として本人死亡後の財産の承継者を家族信託の契約書の中で指定できる上に、本人が亡くなった後も引き続き受託者の下で、財産の管理が可能となります。
例えば、高齢のご主人が亡くなった後に遺される認知症の妻がいるとすれば、引き続き信託の仕組みの中で、妻の生涯にわたる財産管理・生活資金をサポートすることができるのです。

★メリット4

家族信託で自分の思い通りの資産承継の道筋が実現できる!
【争族・遺留分・資産承継対策】
2次相続以降の資産の承継先まで自分で指定することができます。この機能により、自分の希望する順番で何段階にも資産承継者(=「受益者」と言います。)の指定が可能となります。
また、1次相続による資産承継者(高齢の配偶者など)が認知症や障害により、遺言等で次の承継者を指定できない場合に、その人に代わって資産承継者を指定できます(遺言を書いたのと同じ効果を出せます)ので、後々の遺産分割協議による争いの余地を排除できます。

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