「事故物件」の売買・賃貸の告知の基準は? 国交省のガイドライン、3年過ぎると告知義務なくなる?

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「事故物件」の売買・賃貸の告知の基準は? 国交省のガイドライン、3年過ぎると告知義務なくなる?

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中古住宅(新築住宅を含む)を購入・賃貸するとき、大変重要な注意点があります。その一つが、心理的瑕疵、いわゆる事故物件です。長年、その基準がない状態で、売買・賃貸ともに取引がされてきました。事故物件と知らずに住んでいるかもしれません。2021年に国土交通省が心理的瑕疵の不動産取引におけるガイドラインが発表されていますので、最低限知っておくべき内容をまとめてみました。賃貸では、 自殺・他殺・特殊清掃等の心理的瑕疵がある物件でも3年を経過した物件は心理的瑕疵が希釈したものとして「告知は不要」としています。

そもそも事故物件、心理的瑕疵とは

心理的瑕疵とは、簡単に言いますと、心理的に嫌悪を感じるような事情があることをいいます。

わかりやすい事例としては、いわゆる自殺物件、他殺物件、死亡から長期間経過して遺体が腐乱している等です。

賃貸でも売買でも自殺をした場合、その物件は事故物件として市場では扱われると、相場より安い価格で取引されます。

告知義務はいままで基準がありませんでした

賃貸に限らず事故物件を売買する場合についても、 人が自殺した物件に望んで購入したいや住みたいという人はいないので、売主・貸主は次に住む予定の購入者・賃借人に対して「他殺や自殺者が出た物件である」ことを告知しなければなりません。

これを告知義務といい、通常は重要事項説明書に記載して説明するほか、契約書の条項に盛り込むこともあります。

売主・貸主としても心理的瑕疵による告知義務を怠ると、あとから賃借人や買主から損害賠償請求されたり、契約解除されたりすることもありますので注意が必要です。

関連記事: 新築戸建も注意! 中古物件の選び方 心理的瑕疵とは ?事故物件を購入しないための住宅購入のポイントを徹底解説

2021年発表された国土交通省の告知に関するガイドラインとは

2021年10月8日に国土交通省から「宅建業者による人の死の告知に関するガイドライン」が発表されました。 いままでの不動産取引においては、人の死が発生した物件の告知について、明確なルールがありませんでした。


ガイドラインの背景としては、単身の高齢者・障がい者に対する入居拒否などの問題も事故物件につながると貸しにくくなると敬遠される傾向があり、 一定の判断基準を示すことでこれらの問題を解決し、円滑な不動産取引を実現しようというのがガイドラインの目的です。そのため、 特に賃貸物件における対応が明確化された内容となっています。

また、 買主・借主は、居住の快適性、住み心地の良さなどを 期待して購入又は賃借し、入居するため、人の死に関する事案は、その取引の判断 に影響を及ぼす度合いが高いと考えられることから、ガイドラインでは、 居住用不動産に限定されています。

【宅建業者が告知しなくてもよい場合】
1. (賃貸・売買取引において) 自然死・日常生活の中での不慮の死
(老衰、持病による病死、誤嚥(ごえん)など)
2.(賃貸借取引において)「自然死・不慮の死以外の死」「特殊清掃等が行われた自然死・不慮の死 の死」が発生し、おおむね3年が経過した場合
3. (賃貸・売買取引において)隣接住戸、日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した死の場合

関連記事:国土交通省の告知のガイドラインはこちら

告知しなくてもよいケース1:自然死

国土交通省のガイドラインでは、告知しなくてもいい3つのケースがあります。1つ目のケースとしては「自然死または日常生活の中で生じた不慮の死」については売買および賃貸においても「告知は不要」としています。「自然死」は老衰や持病による病死、孤独死などが該当し、「日常生活の中で生じた不慮の死」は階段からの転落事故や食事中の誤嚥などによる死亡が該当します。

裁判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したも のが存在することから、そのような死が住宅内で生ずることは当然に予想されるものであり、こ れが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから、 賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、自然死と同様に、原則として、これを 告げなくてもよいとされています。 単身高齢者の孤独死が生じると事故物件になるという誤解が多かったことから、ガイドラインで自然死は説明不要と明確化した意義はありますが、発見されるパターンとして、腐乱したにおいで気づかれるケースが多いので、単身高齢者が避けられる傾向は続くと考えられます。

告知しなくてもよいケース2:(賃貸)3年経過後

心理的瑕疵は時間がたつと記憶も薄れて影響は少なくなります。

ガイドラインでは、「賃貸物件」に限り、自殺・他殺・特殊清掃等の心理的瑕疵がある物件でも3年を経過した物件は心理的瑕疵が希釈したものとして「告知は不要」としています。ガイドラインでは「賃貸なら3年」という明確な年数を提示しています。

えっ、3年だけ!?

自殺や他殺などが発生しても、賃貸物件なら3年を経過すれば事故物件にはならないということになります。このあたりは、受け取り方は、個人差があるので、注意したいところです。

告知しなくてもよいケース3:隣接住戸および共用部

ガイドラインでは、隣接住戸および日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分における自然死等以外の死亡(特殊清掃が必要となった自然死等も含む)に関しては「告知は不要」となっています。

ガイドラインは「通常使用する共用部分」について例示しており、「ベランダ等の専用使用が可能な部分のほか、共用のエントランス・エレベーター・廊下・階段のうち、買主・借主が日常生活において通常使用すると考えられる部分」としています。

参考: 人の死の告知に関する ガイドライン (別紙2)はこちら

告知不要なのは「通常使用しない集合住宅の共用部分」のことで、「通常使用する共用部分以外の共用部」が告知不要部分となります。

告知する場合のポイント

ガイドラインでは、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死 因及び特殊清掃等が行われた旨については、売主・貸 主・管理業者に照会した内容をそのまま告げるべきで、売主・貸主・管 理業者から不明であると回答された場合、あるいは無回答の場合には、その旨を告 げれば足りるものとするとなっています。

売買の告知すべき期間等は明確にされていない

今回のガイドラインでは、残念ながら売買の期間に関する明記はなされなかった。賃貸物件であれば3年を経過したら説明不要という目安が明示されたが、売買に関してはいつまでであれば、説明しなければならないかは明確に提示されておりません。

心理的瑕疵は、どのラインから告知義務が発生するかの判断基準があいまいで難しいところが一番難しいところです。

例えば、室内で他殺・自殺したのであれば告知は必要というのはおよそ検討がつくかもしれませんが、自然死でも何日後に発見されていれば告知しなくてもいいのかや自然死でもにおいがしなければ問題ないのかや、室内で自殺未遂をして、その後病院で死亡した場合、どうなるのか不明瞭な部分が多くあります。

このあたりの判断はガイドラインにも提示されているわけでもなく、法律に明確に記載されているわけではないので、過去の判例を見ながら個別に判断するしかなさそうです。

過去の判例を見ながら個別に判断していくしかありません。

不動産取引においては、物件の心理的瑕疵だけでなく、買主・借主が十分な情報を得た上で契約することが、取引当事者間のトラブルを未然に防ぐ 、一番のポイントです。

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