新築一戸建ての「欠陥住宅」を見分けるための基礎知識 決済前・購入前に必ずすべきことは?
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新築一戸建て(新築建売)購入時、欠陥がある物件かどうかというのはかなり気になると思います。購入前・決済前に確認しておくべきポイントについて、不動産業界歴20年以上のプロが解説していきます。
そもそも「欠陥住宅」 とは
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思い切って購入した新築一戸建てが、低品質の危険な家では最悪です。
新築で戸建て住宅を建築すると、引き渡し前に必ず検査があります。完了検査というものですが、役所が行うこの完了検査に合格し、検査済証が発行されると安心して住める気持ちになるのです。住宅ローンでも金消契約までには、必要となるものです。実はこの検査でチェックされる項目は表面的なものだけで、床下や天井裏まできっちり検査するものではありません。
その為、こういった検査で明るみになる事が無く、住んでみてから初めて発覚する住宅の欠陥は、住宅の寿命を縮め、生活にも影響を与えるような大ごとになる可能性があります。
完了検査はどんなことをするのか
建ぺい率・容積率を確認したり、敷地との境界を測ったり、廊下、階段の幅などの目に見える範囲を目視で、建築基準法に適合しているかチェックしたりする表面的な検査です。
ここにいくつか欠陥住宅の例を挙げます。
■家の傾きがある
■断熱材の不適施工
■耐力面材の施工不良
■排気ダクト接続不良
これらはほんの一部であり、素人である居住者にも目で見てわかりやすい施工不良もあれば表面から見ても全くわかりにくい家の内部の欠陥も多くあります。
この他にも構造上の問題で、単なる手抜き工事というだけでなく、違法建築のたぐいについても数多くの事例があります。
建築基準法に基づく検査は2回です。
検査の内容は、建築確認申請の図面とつきあわせて現場の建物を目視で確認する内容です。
中間検査では、建物の配置や境界からの距離や構造体の接合状況や耐力壁の設置状況を確認したりします。
完了検査では、建ぺい率、容積率を確認したり、採光・換気や火災警報設備を確認したりする表面的な確認だけです。
※地域によっては、中間検査を受けなくていい場合があります。
瑕疵担保保険に加入する場合に、瑕疵担保保険会社の2回の検査(配筋検査と中間検査)
がありますが、配筋検査では建築基準法で決められた鉄筋の太さとピッチしか見ません。
基本的に中間検査は柱、筋交い、金物のチェックです。
図面通りに出来ているかの確認をするだけです。
基礎コンクリ-トの強度検査をしたりすることはありません。
瑕疵担保保険の申し込みに必要な基準に適合しているかの検査です。
法務局に資金を供託する場合は、瑕疵担保保険には入りません。
住宅性能評価を受ける新築一戸建ての場合、現場検査は、計4回の現場検査があり、完全なものではありませんが、ある程度の高品質を確保できる内容です。
①基礎配筋工事完了時
②屋根工事完了時(躯体工事完了時)
③内装下地張り直前
④竣工時
住宅性能評価付きの新築一戸建てのように、 現場検査が4回あり、第三者の目で現場がチェックされることは品質確保のためには重要なポイントです。
欠陥住宅と不具合は違います!
欠陥住宅とは、雨漏りや家の傾き、シロアリによる床下の腐食等が代表例です。
一方で、不具合とは、建具の建付不良やクロスのはがれ、コンクリートのクラック(ひび割れ)など、軽微なもので、それぞれの不具合については、それぞれの分譲会社のアフターサービス基準に基づいて修繕対応してもらうことになります。アフターサービスの期限内であることが条件です。場合によれば、有料で修繕することになるかもしれません。
欠陥住宅は大掛かりな修繕対応が必要で、建物の寿命に大きく影響します。
知っておくべき代表的な見分け方
家や床の傾きを確認する!
家や床の傾きは、住宅の欠陥・不具合の代表例で、テレビ番組などで、ピンポン球を置いて傾きを確かめる様子などを見たことがあると思います。
家が傾いていると、ドアなどの建て付けが悪くなったりします。
家や床が傾いているかどうかの目安は、中古物件の場合、1000分の6の傾斜までは許容範囲です。品確法の基準に基づいてこの数字を基準にしている会社は多いと思います。この数字以下なら暮らしていて不都合はありませんし、体に異常を感じることもないでしょう。このレベルの傾きの場合、普通に立ったり歩いたりするだけでは、ほとんど気づきません。
1000分の6 を超えた場合はどうなるのでしょうか。立っていると違和感を覚え、体に不調をきたす可能性がでてきます。しかし、ここで怖いのは「慣れてしまう」ということです。傾いた家に慣れてしまうと、平衡感覚がずれたり、めまいしたり、人体にも悪い影響があります。
たとえば新築の場合、「1000分の3(1mに対して3mm未満の傾斜)」に収まる程度の傾きに対しては「許容範囲」とする分譲会社が一般的です。
家や床は1000分の6以上の傾きはダメ(中古)
新築の場合、各分譲会社は、品確法に基づいて自社基準を設けています。
また、木造住宅の床は、わずかな傾きがある状態が一般的でもあります。特別な道具を使うことなく、自分で家の異常な傾きを確認することができます。
室内のドアを開けてみることです。トイレ、居室など、どこでもよいので、ドアを開けて、途中で手を離してみてください。傾きに問題がなければ、手を離したところでドアは止まります。しかし家が傾いていると、勝手に動き出して閉まったり、逆に開いたりします。
局所的な床の傾きであれば、施工後に簡単に直せる場合もあります。
床の傾きの要因が床下にある場合、床下にある「鋼製束(こうせいづか)」という床を支える鋼製束のテンションを調整すると直る可能性があります。床鳴りの時も効果があります。
床の傾きが地盤沈下や施工精度が低いことが原因の場合、簡単ではなく
大掛かりな工事をしなければ傾きは解消できません。
多くの分譲会社では「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」を基準に社内基準を設けています。技術的基準の床の傾きについては下記になります。
レベル | 傾きのレベル | 瑕疵(欠陥・不具合)が存する可能性 |
1 | 3/1000未満の勾配の傾斜 | 低い |
2 | 3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜 | 一定程度存在する |
3 | 6/1000以上の勾配の傾斜 | 高い |
それぞれの部屋やトイレ等すべての「扉・窓の開閉」を確認
扉や窓については、動かせる部分はすべて開閉の確認をしてください。トイレや浴室などの小さな窓も含めて、すべて開閉の確認をしておくと安心です。
傾きがあり、ドアの開閉に問題があるレベルの場合、かなり傾いている可能性があります。
窓枠は、アルミやプラスチックや樹脂でできている場合が多いと思いますが、窓枠のビスがきちんと留まっていないケースもあります。ビスが浮いている状態です。窓枠の仕上げもきっちり確認したいところです。
天井にシミがないか ?天井のシミは雨漏りを疑え!
中古住宅の場合は、天井にシミがないか必ずチェックするかと思います。新築分譲住宅も同じで、天井付近の壁にシミがないか確認した方がいいです。天井裏を見ることはできませんが、壁の上のほうは最低限チェックすることがのぞましいです。
または、窓のサッシ周辺の木枠にシミがある場合もあります。必ずしも雨漏りが原因ではなく、結露の可能性もありますが、壁紙の表にまでシミがある場合は、壁の内側に水分が含まれている可能性があります。壁体内結露は、住宅の寿命に大きく影響してきます。
雨漏りでむずかしいのは、どこから雨漏りをしているか突き止めるのがむずかしいことです。
特別な大雨が降ると、シミができたりしても、普通の雨ではしない場合、大雨が降らないとわからないということになります。
クローゼットでわかる工事業者の腕と現場監督の管理能力
部屋のように、めだたない場所であるクローゼットや押し入れといった収納部には、雑な職人と丁寧な職人の仕事ぶりがよく目立つ場所です。現場監督の指示が行き届いていれば、全体的にきれいに仕上がっている傾向があります。
また、石膏ボードの上にクロスを貼った仕上げになっている場合が多いと思いますが、石膏ボードの継ぎ目が出ていないか、釘を打った箇所がところがういていないか、 きれいに隙間を埋めるコーキング仕上げがされているかどうかチェックしてみましょう!
「欠陥住宅」 が生まれる理由とは
住宅・建築といった業界に通じている人でなければ不動産や家の建築のことは素人と言えるかと思います。
家を設計する設計士、そして家を実建築する施工業者・大工さんといった職人さんは現場のプロです。家を建てるという事に関しては、プロにお任せするしかないと、いうことでまかせっきりにして、不動産や建築のことについて勉強していない場合、より問題が起きやすくなります。よくあるパターンをまとめてみました。
現場監督の管理物件数が多すぎる場合
工事監理者・現場監督とは、住宅の建築主の依頼のもと、実際の工事が設計図の内容通りに進んでいるかをチェックする監督のような存在です。
役所に提出する書類には必ずこの工事監理者の名前が記載されますが、実はこれは名前がないと申請が通らず工事が進まない為、書類上形式的に名前が載せているだけのケースもあります。
一番問題なのは、現場監督が、足りていなくて、多くの現場を掛け持ちして、現場監督のキャパを超えて管理しきれていない時に問題が起こる可能性があります。
施工業者の能力不足
1件の住宅の建築をするのにかなりの数の業者や職人が出入りします。いわゆるベテランの大工さんもいれば、そうでない方がいるのも事実です。こればっかりは運でもありますが、現場の職人さんに悪気がなくても能力が不足している場合には失敗につながり欠陥住宅が生まれてしまう可能性もあります。
大型の分譲地の場合、1号棟と10号棟で、出来具合が全然違う可能性があります。同じ分譲会社だから安心というわけではありません。1号棟と10号棟に入る大工は違います。
コストダウンによる品質低下
不動産や建築のことの知識が無い状態で商談を前にすすめていくと起こりやすい問題です。ハウスメーカーで、商談をするめていく場合、とにかくコストを抑えたいばかりに、安い粗悪なものに手をだしてしまうメースです。
外国産の安い木材には有害な化学物質が多く使われており、害のある空気が原因で後にシックハウス症候群になってしまうという例も少なくありません。
コストパフォーマンスを重視しすぎて、しっかりお金をかけるべき部分にお金をかけずにけちると後でこうかいするかもしれません。
決済する前・購入する前に必ずにやるべきこと
ここが一番重要なところです。
引渡し前に必ず、内覧会、立会を行います。内覧会で十分に建物の状況をチェックすることが非常に重要です。新築一戸建てでは、引き渡しの前に、必ず物件を確認できる内覧会が行われるのでそのタイミングで建築に詳しい知人がいる場合、内覧会に同伴してもらったり、インスペクションを入れたりすると安心です。
インスペクションをご希望の方はお気軽にご相談下さい。
インスペクション(住宅診断)は、新築一戸建てでも有効です。お金がかかるので、躊躇するかもしれません。安心を買うという意味では、十分価値はあります。
入居前である内覧会での指摘は、責任の所在が売主側(分譲会社)にあることがハッキリしているため、売主が素直に聞き入れて補修してくれやすい傾向があります。内覧会で可能な限りチェックすることが欠陥住宅を購入しない最良の予防策です。又、引っ越してから、補修をお願いしても責任の所在がはっきりしないため、補修してくれません。原因が引っ越し業者かもしれませんし、その他の理由かもしれません。
内覧会・立会が最後と思ってチェックすることがポイントです。
欠陥住宅かも?そんな時どうするべきか
住み始めて間もないのに気が付いたら外壁にヒビが発生していた…
大雨が降ってはじめて気づいた!雨漏りをしているかも?…
床にビー玉を置いたら転がっていくので家が傾いているかも…
品確法に基づき修補請求するのが基本
品確法はご存知でしょうか?
新築住宅で欠陥が発見された場合、まずは品確法に基づき補修請求することになります。品確法で補修請求できる部分は、具体的には以下の部分が対象です。
構造耐力上主要な部分としては、住宅の基礎、基礎杭、壁、柱、小屋組、土台、筋交等の斜材、床版、屋根版または梁・桁等の横架材で、住宅の積載荷重、積雪、風圧、土圧または地震等の振動、衝撃を支えるものが基礎構造部分でポイントです。
雨水の浸入を防止する部分としては、住宅の屋根や外壁または開口部に設ける戸、枠等の建具が対象です。
契約の時に、10年保証の部分について、必ず説明があると思いますので、契約の時にしっかりと確認しましょう。
品確法では、上記の「構造耐力上主要な部分」の「雨水の浸入を防止する部分」に欠陥が生じた場合、売主に対して補修請求ができるようになっています。宅地建物取引業法による瑕疵担保責任では、「修補請求」がないため、欠陥を修復してもらうことはできないが、欠陥部分を修復し、今の家に住み続ける場合には、品確法に基づき修補請求できるようにしています。
なお、品確法は、マンションや建売住宅の売主だけでなく、注文住宅の請負工事会社にも適用されます。注文住宅の場合、売買ではないため、宅地建物取引業法による瑕疵担保責任は追及できないが、品確法によって修補請求ができます。
欠陥が見つかった時点で売主(分譲会社)などが倒産していて、「誰に責任を取ってもらえばいいかわからない……」という事も十分あり得る話です。そのような場合のために「住宅瑕疵担保履行法」という法律によって、売主は10年間の瑕疵担保責任を負うための資力確保つまり瑕疵担保責任を担保するために、「保証金の供託」か「保険加入」を義務づけられています。つまり、売主が倒産していても、欠陥の補修費用は保険などでカバーできるように、買主様を守るための法律です。
欠陥かもと思ったら、まずは売主(分譲会社)に相談!
住みはじめてから不具合を感じたら、まずアフターサービス基準を確認しましょう。分譲会社はアフターサービス基準に基づいてアフターサービスを行っていきます。それからまずは売主(分譲会社)に相談しましょう。補償期間で、明らかに施工不良で欠陥があれば補修してもらうことになります。
また、住宅性能評価を受けた住宅については、品確法によって住宅専門の紛争処理体制も整備されており、引き渡し後に不具合や欠陥が見つかり、売主などとトラブルになった場合は1万円の手数料で国土交通省が指定・監督する住宅紛争処理支援センター(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)に紛争処理を依頼できたりします。
見えている部分は素人でも確認できるかもしれませんが、床の下や天井裏、壁の内側がどのような状態になっているのかプロでないとわからない可能性があります。分譲会社に相談してもらちが明かない場合、欠陥住宅の疑いがある場合には第3者への相談が必要になるかもしれません。
ますは、建物調査を行う調査会社や、身近に一級建築士の知り合いなどがいれば相談してみましょう!
最悪、第三者である建築士や弁護士に相談を
まずはプロである建築士に相談して、明らかな欠陥住宅であれば、その責任を業者に対して問う事ができるのかといった法律的な知識が必要となってくるので最悪は弁護士への相談も必要になります。
後に、業者に対して責任を問う為の裁判等になれば、建築士や弁護士に依頼した費用も請求できる場合がありので、専門知識のあるプロにアドバイスをもらいながら進めていくのが無難です。
物件の欠陥調査
欠陥住宅かどうか、あるいはどのような被害が出ているのかといった欠陥調査を行う専門業者が存在します。
もしこの欠陥調査自体を、建築を依頼した業者に任せてしまうと、責任問題があるので正しい調査結果にならない可能性があるので、調査に関しては第三者に依頼を行い、現状や補修方法、そこにかかる費用の見積もりや責任問題といった所をしっかりと確認し、書面に残した上で交渉できる様にしておく事が大切です。
分譲会社・施工会社への交渉
いきなり裁判という訳ではなく、まずは調査結果を分譲会社へと報告し、補修や賠償について交渉を行います。
当事者間で納得のいく結果が出ればスムーズですが、最悪の場合、弁護士を通じて調停や訴訟などを検討する事になりますが、業者もプロですので、専門家の知識や知恵を借りながら可能な限り円満に進むようにしましょう。
「欠陥住宅」を解消するため、どんな法律がある?
2000年代に入り、耐震偽装事件などの住宅における建築問題の背景もあり、住宅を購入する消費者の立場に立った法律が整備されるようになり、欠陥住宅の被害者を救済する道が整ってきているところです。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
これは、住宅性能の表示基準を定める事で住宅品質の基準を標準化するとともに、住宅新築工事の請負人及び売主(分譲会社)に対して10年間の瑕疵担保責任を義務付けるという法律です。
「品確法」とも呼ばれている先ほどご説明させていただいた法律ですが、その中の下記の3つはしっかりと覚えておく必要があります。
1:住宅性能評価
国土交通大臣により登録を受けた住宅評価の為の専門会社等が、定められた基準に従い住宅評価書を作成する事ができるものです。
2:住宅紛争処理支援センターの開設・弁護士会による紛争処理
請負契約・売買契約に関する紛争が発生した場合に、その当事者は指定住宅紛争処理機関に対して紛争の処理を申し立てる事ができるシステムです。弁護士会の内部に設置されているのがこの指定住宅紛争処理機関ですが、当事者は紛争処理の申し立てを行う際の自己負担費用として1万円を支払う設定です。
3:10年間の瑕疵担保責任義務
新築住宅の建築、あるいは売買そのものの契約において、売り主及び工事請負人は注文者に住宅を引き渡した時点から10年間は契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う事と定められています。瑕疵担保責任とは、引き渡された住宅が契約上の品質に適合しない場合に、売り主や請負人が責任を負うという物です。
この瑕疵担保責任では、業者側が定められた保険に加入するか供託金を支払う事が定めされている為、万一欠陥住宅発覚後に業者が倒産した場合や支払い能力が乏しい場合でも2000万円までは保証修理費が支払われるようになっています。
まとめ
新築戸建て住宅の欠陥住宅は、よく知っている会社でも絶対に無いとは言い切れないのも事実です。
ハウスメーカーや工務店に丸投げせずに、数千万円という大きな買い物をする以上は必ず、知識をつけた上で家探し、家作りに挑む事こそ大切であると言えます。
REAL BANK
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